障害基礎年金とは?請求の流れと、結果を左右する申立書の書き方
グループホームでの暮らしを考えるとき、費用と同じくらい大事なのが「収入の側」です。
その中心になるのが障害基礎年金です。これがあるかないかで、毎月の生活の成り立ち方がまったく変わります。
このページでは、障害基礎年金のしくみと請求の流れ、そして見落とされやすい落とし穴を整理します。
金額は毎年度改定され、等級や加算の有無、他の年金との関係によっても変わります。このページでは具体的な金額は示しません。ご本人の場合にいくらになるかは、お住まいの市区町村の年金担当窓口、または年金事務所で必ずご確認ください。制度は年度ごとに改定されます。
障害基礎年金とは
病気やけがによって日常生活に支障がある状態になったとき、国から支給される年金です。「働いていた期間がないと受け取れない」ものではありません。
等級は1級と2級があり、1級のほうが支給額が高くなります。日常生活にどの程度の支援が必要かによって判定されます。
グループホームで暮らす方の多くは、この障害基礎年金と、日中活動先での工賃・賃金を合わせて生活費にあてています。
20歳前に障害があった方の場合
知的障害や、子どものころからの障害がある方の場合、20歳前傷病による障害基礎年金という枠組みで請求することになります。
ここが、多くのご家族に関係する部分です。
| 保険料の納付は不要 | 20歳前は年金制度に加入していないため、保険料を納めていなくても請求できます |
|---|---|
| 請求できるのは20歳から | 原則として20歳になったときが請求のタイミングです |
| 所得制限がある | この枠組みで受給する場合、ご本人の所得によって支給が制限される場合があります(ご家族の所得ではなく、ご本人の所得です) |
「20歳の誕生日が近づいたら準備を始める」——これを覚えておいてください。手続きには診断書などの書類が必要で、思ったより時間がかかります。
請求に必要なもの
主に次の書類が必要になります。市区町村や年金事務所で案内を受けられます。
| 診断書 | 指定の様式があります。障害の状態を医師に記載してもらいます |
|---|---|
| 病歴・就労状況等申立書 | ご本人・ご家族が書く書類。これが結果を左右します(後述) |
| 受診状況等証明書 | 初めて医療機関にかかった日を証明するもの。必要な場合があります |
| その他 | 年金手帳・基礎年金番号のわかるもの、戸籍や住民票、振込先口座の情報など |
いちばん大事なのは「病歴・就労状況等申立書」
ここが、この記事でお伝えしたい核心です。
診断書は医師が書きます。ご家族が手を入れられません。一方、病歴・就労状況等申立書は、ご本人とご家族が書く書類です。
そしてこの書類は、診断書だけでは伝わらない日常の実態を補う役割を持っています。
診察室での短い時間に、ご本人は落ち着いて見えることがあります。医師は普段の生活を直接見ているわけではありません。その差を埋めるのが、この申立書です。
書くときの原則
- 「できる」と「一人でできる」を分ける。声かけが必要、見守りが必要、途中で止まってしまう——その状態を具体的に書く
- できない日のことも書く。体調や気分に波があるなら、良い日と悪い日の両方を書く。波があること自体が大事な情報です
- 場面を具体的に書く。「意思疎通が困難」ではなく「初めての人には自分から話しかけられず、質問には『はい』と答えてしまう」のように
- 誇張はしない。実態をそのまま書く。事実と違うことを書けば、あとでご本人が困ります
障害支援区分の認定調査とまったく同じ構造です。言葉の印象ではなく、事実を積み上げて伝える。これが結果を左右します。
普段から記録を残しておく
申立書は、生まれてから現在までの経過を書く必要があります。何年も前のことを思い出しながら書くのは大変です。
母子手帳、通知表、療育手帳の判定結果、通院の記録、支援機関からの書面——手元にあるものをまとめて保管しておくと、いざというときに助かります。
グループホームの費用との関係
障害基礎年金を受給していて、他に大きな収入がない場合、市町村民税が非課税の世帯にあたることが多く、障害福祉サービスの利用者負担は0円になります。
そして18歳以上の方については、負担上限を判定する「世帯」に親御さんの収入は含まれません。この点は誤解が非常に多いところです。
詳しくは 障がい者グループホームの費用はいくら?家賃補助と利用者負担のしくみ をご覧ください。
結果に納得がいかないとき
不支給になった場合や、等級に納得がいかない場合、不服を申し立てる手続き(審査請求)があります。期限があるので、通知を受け取ったら早めに相談してください。
また、症状が重くなった場合には額改定請求という手続きもあります。
これらは専門的な判断が必要な領域です。年金事務所、または障害年金を扱う社会保険労務士に相談することをおすすめします。
まとめ
- 20歳前からの障害なら、保険料を納めていなくても請求できる
- 20歳の誕生日が近づいたら準備を始める。書類集めに時間がかかる
- 結果を左右するのは病歴・就労状況等申立書。診断書では伝わらない日常を、事実で埋める
- 金額・等級・所得制限の詳細は年金事務所で確認する
知らないまま、何年も過ぎてしまうことがあります
最後に、制度の説明ではなく、実際に起きていることを書いておきます。
特別支援学校(養護学校)を卒業しているのに、障害年金の話を誰からも聞いていなかった——そういうご家庭が、実際にあります。お子さんが30歳近くになってから、相談支援の窓口につながって初めて請求した、という例を聞きました。
そのお母さんは、何もしていなかったわけではありません。ただ、誰も教えてくれなかったのです。
20歳の誕生日が来ても、自動では始まりません
障害基礎年金は、こちらから請求して初めて手続きが動きます。役所から「そろそろですよ」と連絡が来るわけではありません。
そして、気づくのが遅れた分をすべて取り戻せるとは限りません。さかのぼって請求できる範囲には時効があります。何年も過ぎてしまうと、受け取れたはずの期間が戻ってこないことがあります。
ここは、金額の話である以上に時間の話です。詳しい取り扱いは、必ず年金事務所でご確認ください。
「知っている人」と「知らない人」の差が、そのまま差になる
障害のある方に関わる制度は、自分から情報を取りに行かないと教えてもらえないものが少なくありません。窓口で聞けば丁寧に教えてもらえますが、聞かなければ始まらない。
その結果、親のネットワークにつながっている家庭と、つながっていない家庭とで、受けられる支援に大きな差が生まれます。これは本人の障害の重さとは関係のない差です。
心当たりがあれば、基幹相談支援センターへ
「うちはまだ請求していないかもしれない」と思われた方は、お住まいの地域の基幹相談支援センターに相談してください。書類の準備は量が多く、一人で揃えるのは大変ですが、一緒に進めてもらえます。
担当の相談支援専門員がついている場合は、その方に聞くのがいちばん早い道です。まだついていない場合も、その入口はここから作れます。
次に読む
・費用の全体像は 障がい者グループホームの費用はいくら?家賃補助と利用者負担のしくみ
・区分の認定調査も同じ考え方です 障害支援区分とは?認定の受け方と、障害者グループホーム入居との関係
・将来の備え全体は 「親亡き後」にそなえる住まいと支えのしくみ
お住まいの地域にどんなホームがあるかは、全国の障害者グループホーム一覧から市区町村ごとに探せます。
障害年金は個別の事情によって取り扱いが大きく異なる制度です。具体的な請求手続きや金額については、必ず年金事務所、市区町村の年金担当窓口、または障害年金を扱う社会保険労務士にご相談ください。このページは一般的なしくみの解説であり、個別の判断を示すものではありません。
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