作業所(就労継続支援B型)の選び方|2か所まで同時に通えることを知っていますか
グループホームを探しはじめると、住まいのことで頭がいっぱいになります。けれど本人にとって、一日の大半を過ごすのは日中に通う場所のほうです。
その日中活動先——いわゆる作業所を選ぶときに、あまり知られていないことがあります。
作業所は、条件が合えば2か所まで同時に通えます。
私たちの家庭がこれを知ったのは、つい最近のことでした。担当の相談支援専門員も知らなかった、という状況からのスタートでした。
障害福祉サービスの制度は、市区町村によって運用が異なり、年度ごとに改定されます。とくにこの記事で扱う複数事業所の利用は例外的な取り扱いで、認められるかどうかは最終的にお住まいの市区町村の判断になります。必ず障がい福祉担当窓口、または担当の相談支援専門員にご確認ください。
まず、作業所にはいくつか種類があります
「作業所」と呼ばれている場所は、制度上はいくつかのサービスに分かれています。
- 就労継続支援B型——雇用契約を結ばず、体調やペースに合わせて働く場所。工賃が支払われます。いちばん数が多く、一般に「作業所」と呼ばれるのはここです
- 就労継続支援A型——雇用契約を結んで働きます。最低賃金が適用されます
- 生活介護——働くことより、日中の活動や介護が中心です。くわしくは 生活介護とは? をご覧ください
どれに通うかは、受給者証に書かれているサービスの種類で決まります。まず、ご本人がどれの支給決定を受けているかを確認してください。
2か所まで同時に通える、という選択肢
ここからが本題です。
作業所は「どこか1つを選んで、そこに通う」ものだと思われがちです。実際、多くの説明はそう書かれています。
けれど制度上は、複数の事業所を同時に利用できる場合があります。
主な条件
- 同じ日には利用できません。「月・水・金はA、火・木はB」のように曜日を分けます
- 受給者証の支給量(月◯日まで)の範囲内で、2か所の合計日数を収めます
- サービス等利用計画に、2か所を利用することとそれぞれの目的が書かれている必要があります
- 両方の事業所と相談支援専門員の間で、情報が共有されていることが求められます
すでにそのサービスの支給決定が出ていれば、日数の調整だけで済むこともあります。ただしあくまで例外的な取り扱いで、認めるかどうかは市区町村の判断です。
🔴 まず、聞いてみてください
大事なのはここです。
この選択肢は、向こうから提案されるとは限りません。私たちの場合、担当の相談支援専門員も知りませんでした。ご本人やご家族が「できますか」と聞いて初めて、確認が始まりました。
知らないことは、検索することもできません。だからこの記事に書いています。
なぜ、これが大きいのか
制度の説明としては「2か所使えます」で終わりです。けれど、実際に使ってみて分かったのは、これは「試し方」を変えるしくみだということでした。
今の居場所を失わずに、試せる
作業所を変えるという話になったとき、ご家族がいちばん怖いのは「今より悪くなったらどうしよう」ではないでしょうか。
長く通っている場所には、慣れた職員がいて、慣れた作業があります。それを手放して新しい場所に移り、合わなかったら——戻れる保証はありません。
けれど2か所使えるなら、今の場所を残したまま、新しい場所を試せます。合わなければ、元の日数に戻すだけです。
私たちの家庭では、長く通っていた作業所を週1〜2日残したまま、残りの曜日で新しい作業所を試しています。3か月ずつ、候補を順番に。最後に、本人が通い続けたい2か所を決める——そういう進め方をしています。
言葉で選べなくても、通った事実で選べる
これが、この方法のいちばん大きいところだと思っています。
「AとB、どっちがいい?」と聞いて答えられる方ばかりではありません。見学に行っても、その場では分かりません。「どう思う?」と聞くと、たいてい「うん」と答えてくれる。でもそれが同意なのかは分からない。
当サイトの 見学のポイントの記事 でも書いていることですが、言葉で確かめられないなら、事実で確かめるしかありません。
3か月通えば、事実が集まります。
- 行きたがるか、渋るか
- 帰ってきたときの様子
- 休みが増えていないか
- 持ち帰る作品や話題があるか
これは見学の30分では分かりません。通った日数だけが教えてくれることです。
選ぶときに見ておきたいこと
工賃は、都道府県が公表しています
B型の工賃(作業に対して支払われるお金)は、事業所によって大きく違います。多くの都道府県が、事業所ごとの工賃実績を毎年公表しています。「◯◯県 工賃 実績」で検索すると出てきます。
ただし2点、気をつけてください。
公表されているのはその事業所の平均であって、ご本人がいくら受け取れるかとは別です。通う日数や作業内容で変わります。そして、工賃の高さと、本人が居心地よく過ごせるかは別の話です。数字は判断材料の一つとして見てください。
作業の中身が、本人に合うか
同じ「B型」でも、中身はまったく違います。軽作業が中心のところ、パソコンやデザインを扱うところ、飲食や農作業をするところ。「どんな作業か」ではなく「その作業を本人が続けられそうか」で見てください。
送迎・通院・余暇への配慮
意外と見落とされるのがここです。
- 送迎があるか——作業所側が送迎していることが多く、ホーム側にはない場合がほとんどです
- 通院の日は休めるか、調整できるか
- 習い事や余暇の予定があるとき、送り出してもらえるか——介助ではなく「そろそろ時間だよ」という声かけの話です
住まいと日中活動を、同時に変えないでください
最後にひとつだけ。
グループホームへの入居と、作業所の変更が重なりそうになったら、できるだけ時期をずらしてください。
両方いっぺんに変わると、うまくいかなかったときにどちらが原因か分からなくなります。住まいが合わないのか、日中活動が合わないのか。切り分けられないと、次の手も打てません。
この考え方は 生活介護の記事 でも書いています。変えるのは片方ずつ。2か所使えるしくみは、この「片方ずつ」を実現するための道具でもあります。
相談先
- 担当の相談支援専門員——まずここへ。「2か所通うことはできますか」と聞いてみてください
- 市区町村の障がい福祉担当窓口——支給量や複数利用の可否を決めるのはここです
- 基幹相談支援センター——相談支援専門員がついていない場合の入口。「親亡き後」の記事 もあわせてどうぞ
お住まいの地域にどんなグループホームがあるかは、全国の障害者グループホーム一覧から市区町村ごとに探せます。
複数事業所の同時利用は例外的な取り扱いであり、可否・条件は市区町村によって異なります。またこのページは制度の一般的な説明と、一つの家庭での進め方をご紹介したものです。ご本人に当てはまる取り扱いは、必ずお住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口、または担当の相談支援専門員にご確認ください。
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