グループホームの退去|どんなときに出ることになるのか、入居前に聞いておくこと
グループホームを探しているとき、「出ていくことになったらどうするか」を考える方はほとんどいません。
やっと見つかった住まいです。そんな縁起でもないことを、と思われるかもしれません。
ただ、退去はまれな話ではありません。ご本人の希望で移ることもあれば、体調の変化で支援が合わなくなることもある。事業所の都合ということもあります。
このページでは、どういうときに退去になるのかと、入居前に確認しておくべきことを整理します。備えておけば、そのときに慌てずにすみます。
契約の内容や手続きは事業所ごとに異なります。制度の運用も市区町村によって違い、年度ごとに改定されます。実際の対応については、契約書の内容を確認したうえで、担当の相談支援専門員やお住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口にご相談ください。
退去になる主な場面
| ご本人の希望 | ひとり暮らしへ移る、実家に戻る、別のホームへ移る。前向きな退去もあります |
|---|---|
| 支援の必要度が変わった | 加齢や病気で介護の必要度が上がり、そのホームの体制では支えきれなくなる |
| 他の入居者との関係 | 共同生活なので、どうしても合わない組み合わせが生じることがあります |
| ご本人の状態の変化 | 強い不安や興奮が続き、職員体制では対応が難しくなる |
| 入院が長引いた | 長期入院になった場合の扱いは、契約で定められていることが多い部分です |
| 事業所の都合 | 建物の老朽化、閉鎖、事業の縮小など。ご本人とは無関係の理由です |
ここで押さえておきたいのは、退去の理由の多くは「本人が悪い」からではないということです。支援の必要度とホームの体制が合わなくなった、という話であることがほとんどです。
入居前に聞いておくこと
ここが、このページでいちばんお伝えしたい部分です。
見学のときに「どういうときに退去になりますか」と聞いてください。
失礼な質問だと感じるかもしれません。でも、まったく失礼ではありません。むしろ誠実な事業所ほど、正直に答えてくれます。「対応が難しくなるのは、こういう場合です」と具体的に説明できる事業所は、自分たちの体制を理解しているということです。
あわせて、次の点も確認してください。
- 退去を求められる場合、どれくらい前に知らせてもらえるのか(予告期間)
- そのとき、次の行き先を一緒に探してもらえるのか
- 長期入院になった場合、部屋はどうなるのか
- 退去時の費用はどうなるのか(原状回復の考え方、敷金にあたるものの精算)
これらは契約書と重要事項説明書に書かれています。契約前に必ず現物を見せてもらい、退去に関する条項を読んでください。口頭の説明だけで済ませないことです。
見学時に書面を確認する重要性は グループホームの見学で必ず見るべき10のポイント にも書いています。
実際に退去を告げられたら
動揺すると思いますが、順番に進めてください。
1. 理由を具体的に聞く
「なぜ難しいのか」を、できるだけ具体的に聞いてください。「対応が難しくなりました」だけでは、次の行き先を探す手がかりになりません。
夜間の体制なのか、医療的な対応なのか、他の入居者との関係なのか。その内容が、そのまま次のホームを選ぶ条件になります。
2. 相談支援専門員にすぐ連絡する
ご家族だけで抱えないでください。言われた言葉をそのまま伝えてください。要約や解釈を加えず、事実として何を言われたのかを共有するのが役に立ちます。
3. 期限を確認して、記録する
いつまでに出る必要があるのか。書面で示されているか。日付と、誰が何を言ったかを記録に残してください。
4. 短期入所などの受け皿を確保する
次のホームがすぐ見つかるとは限りません。短期入所(ショートステイ)に登録があれば、つなぎに使える可能性があります。登録も利用実績もない状態だと、急には使えません。
納得できないときの相談先
一方的だと感じたり、理由に納得できない場合、相談できる先があります。
| 事業所の苦情相談窓口 | 各事業所に設置が義務づけられています。連絡先は重要事項説明書に記載されています |
|---|---|
| 担当の相談支援専門員 | 中立の立場で間に入ってもらえます |
| 市区町村の障がい福祉担当窓口 | 指定した立場から事業所に確認してもらえます |
| 運営適正化委員会 | 各都道府県の社会福祉協議会に設置されている、福祉サービスの苦情解決の第三者機関です |
「お世話になっているのに苦情なんて」と考える必要はありません。これらの窓口は、そういうときのために用意されています。
退去は「失敗」ではありません
最後にお伝えしたいことです。
ホームを出ることになったとき、ご家族は「うちの子がうまくやれなかった」と感じてしまいがちです。
でも実際には、支援の必要度とホームの体制が合わなかったということがほとんどです。合わない場所に無理にとどまるより、合う場所へ移るほうが、ご本人にとって良い結果になります。
実際、ホームを移った先で落ち着いて暮らせるようになる方もいます。一度の入居で決まらなければならない、というものではありません。
まとめ
- 退去の理由の多くは「本人が悪い」からではない。体制との相性の問題
- 見学のときに「どういうときに退去になりますか」と聞いてよい。誠実な事業所ほど具体的に答える
- 契約書と重要事項説明書の退去条項を、契約前に読む
- 告げられたら理由を具体的に聞き、そのまま相談支援専門員に伝える
- 納得できなければ苦情窓口・市区町村・運営適正化委員会に相談できる
- つなぎの受け皿として短期入所の登録を先にしておく
次に読む
・見学で書面を確認する方法は グループホームの見学で必ず見るべき10のポイント
・次のホームを探すときは 障害者グループホームの入居条件|断られるのはどんなときか
・つなぎの備えは 短期入所(ショートステイ)とは?困ってから探しても間に合わない理由
お住まいの地域にどんなホームがあるかは、全国の障害者グループホーム一覧から市区町村ごとに探せます。
契約内容や対応は事業所ごとに異なります。担当の相談支援専門員、またはお住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口にご相談ください。
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