障害者グループホームの入居条件|断られるのはどんなときか
「うちの子は、入れてもらえるのだろうか」
障害者グループホームを探しはじめたご家族が、口には出さなくても、いちばん奥で抱えている不安だと思います。
そして実際に問い合わせてみると、断られることがあります。何軒か続くと「うちは受け入れてもらえないのかもしれない」と、気持ちが折れそうになります。
このページでは、制度上の入居条件と、事業所ごとに設けられている実際の条件を分けて整理します。そのうえで、断られたときに何が起きているのか、次に何ができるのかをお伝えします。
先に結論を書きます。断られる理由の多くは、ご本人の問題ではありません。空きがない、職員体制が合わない、男女別の部屋の都合——事業所側の事情であることがほとんどです。
障害福祉サービスの制度は、市区町村によって運用が異なり、年度ごとに改定されます。このページは全国共通の考え方を整理したものです。ご本人に当てはまる取り扱いは、必ずお住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口、または担当の相談支援専門員にご確認ください。
まず、制度上の条件(これは全国共通)
グループホーム(共同生活援助)を利用するために、制度として必要なものは多くありません。
| 障害福祉サービスの支給決定 | お住まいの市区町村に申請し、障害福祉サービス受給者証の交付を受けていること。これが実質的な入口です |
|---|---|
| 年齢 | 原則18歳以上。ただし15歳以上18歳未満の方でも、児童相談所長の申し出により利用できる場合があります |
| 障害支援区分 | 必須ではありません。区分が非該当の方や、まだ認定を受けていない方でも利用できる場合があります |
区分については 障害支援区分とは?認定の受け方と、障害者グループホーム入居との関係 で詳しく整理しています。
なお身体障害のある方については、年齢に関する要件が別に定められています。該当しそうな場合は、市区町村の窓口でご確認ください。
ここで押さえておきたいのは、「制度の入口は、思っているより広い」ということです。断られる理由は、たいてい制度の話ではありません。
実際に効いてくるのは「事業所ごとの条件」
ホーム探しで壁になるのは、こちらです。同じ「グループホーム」という名前でも、受け入れ体制はホームごとにまったく違います。
| 性別 | 男性のみ、女性のみのホームが多くあります。共同生活の場なので、居室や水回りの構造上そうなります |
|---|---|
| 障害種別 | 知的障害のある方が中心、精神障害のある方が中心、というように支援のノウハウが分かれていることがあります |
| 日中活動先 | 日中は作業所や就労先へ通うことが前提のホームが多くあります。日中活動先が決まっているかを聞かれます |
| 医療的ケア | 看護職員の配置状況によって、対応できる範囲が変わります |
| 服薬管理 | 薬の種類や管理の必要度によって、対応可否が分かれます |
| 行動面の支援 | 強い不安や興奮への対応には、職員体制と経験が必要になります |
| 夜間の支援体制 | 夜勤の職員がいるか、宿直か、緊急時にどう対応するか。ホームによって差が大きい部分です |
これらは「ご本人を選別するための条件」ではなく、「そのホームが責任を持って支援できる範囲」の表明です。
「断られた」とき、実際に何が起きているのか
問い合わせて断られたとき、多くのご家族が「本人が拒否された」と受け取ってしまいます。でも実際の理由は、次のどれかであることがほとんどです。
| ① 空きがない | これが最も多い理由です。グループホームは定員が数名〜十数名の小さな住まいで、退居が出ないかぎり新しい方は入れません |
|---|---|
| ② 性別・部屋の都合 | 空きが1室あっても、その部屋が男性用か女性用かで決まってしまいます |
| ③ 職員体制と支援内容が合わない | 受け入れたあとに支援が行き届かない事態を避けるための判断。誠実な事業所ほど、ここは正直に言います |
| ④ 日中活動先が未定 | 生活のリズムを支える前提が整っていないため、先に日中活動を決めてから、という判断になることがあります |
①と②は、ご本人とはまったく関係のない理由です。そして体感として、断りの多くはここに集中します。
断られたときは、理由を具体的に聞いてください
ここが実務上、いちばん大事なところです。
「今回は難しいです」で終わらせず、「空きがないということでしょうか。それとも、支援体制の面でしょうか」と聞いてみてください。この2つは、次の動き方がまったく変わります。
| 空きがないのが理由なら | ご本人の条件は合っている、ということ。待機の登録ができるか聞いておく。空きが出たときに連絡をもらえる可能性があります |
|---|---|
| 支援体制が理由なら | どの部分が難しいのかを具体的に聞く。その情報は、次のホームを探すときの条件になります(夜間の体制が要る、医療的ケアが要る、など) |
聞いた内容は、担当の相談支援専門員に必ず共有してください。「A事業所には、夜間の体制の面で難しいと言われた」という具体的な情報があるほど、次の候補を絞り込みやすくなります。
断られたあとにできる5つのこと
- 待機登録ができるか確認する。空きが出るタイミングは読めません。登録しておけば連絡が来る可能性があります
- 体験利用(短期の宿泊)から入れないか聞く。本入居の空きがなくても、体験なら受け入れられることがあります。ご本人にとっても、実際に泊まってみることは大きな情報になります
- 相談支援専門員に、断られた理由をそのまま伝える。推測ではなく、言われた言葉のまま伝えるのが役に立ちます
- 条件を分解して、優先順位をつけ直す。「自宅から近い」「日中活動先が変わらない」「個室である」——すべてを満たすホームは、なかなかありません。何を最優先にするかを家族で決めておくと、選択肢が広がります
- エリアを少し広げてみる。隣の市区町村まで範囲を広げると、候補の数が変わることがあります
問い合わせるときに、あらかじめ伝えておくとよいこと
最初の問い合わせで次の情報を伝えておくと、事業所側も判断がしやすく、無駄なやりとりが減ります。
- ご本人の年齢と性別
- 障害支援区分(出ていれば)、受給者証の有無
- 日中活動先が決まっているか(作業所名、通所の頻度)
- 服薬の有無と、管理がどの程度必要か
- 医療的ケアの有無
- 希望する入居時期(すぐなのか、1年後をめどにしているのか)
ここで、できることを多めに伝えないでください。入居してから「聞いていた話と違う」となると、いちばん困るのはご本人です。認定調査のときと同じで、普段の実情がそのまま伝わることが、結果的にご本人を守ります。
まとめ:断られることは、よくあることです
何軒か断られても、それはご本人が否定されたということではありません。小さな住まいに空きが出るのを待つ、という性質のものです。
だからこそ、早めに動いて、候補を複数持っておくことが効いてきます。今すぐの入居を考えていなくても、見学だけしておく、相談支援専門員に希望を伝えておく——それだけで、いざというときの選択肢が変わります。
次に読む
・見学のときに何を見るかは グループホームの見学で必ず見るべき10のポイント
・毎月いくらかかるかは 障がい者グループホームの費用はいくら?家賃補助と利用者負担のしくみ
・区分のしくみは 障害支援区分とは?認定の受け方と、障害者グループホーム入居との関係
お住まいの地域にどんなホームがあるかは、全国の障害者グループホーム一覧から市区町村ごとに探せます。
入居の要件や申し込みの進め方は、市区町村や事業所によって異なります。ご本人に当てはまる取り扱いについては、お住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口、または担当の相談支援専門員にご相談ください。まだ相談支援専門員がついていない場合は、市区町村の窓口で相談支援事業所を紹介してもらえます。
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